『リアル人生ゲーム完全攻略本』は若者向けの人生指南書だ

普段はあまり新書を買うことがないのですが、本屋で何気なく新書コーナーの前を通ったら面白いタイトルだったので読んでみました。
最初の数ページを読み、登場キャラが面白かったのでその場で即買ってしまった本です。
対象読者は大学生~社会人1,2年目くらいの若者をターゲットに書いたのではないでしょうか。
一昔前に2ちゃんねるなどで人生そのものをゲームとして例え、リセットができない、ゲーム開始時の初期ボーナス差が大きすぎる、バランス崩壊のイベントが多すぎるなど欠点を挙げて人生をクソゲー認定している書き込みをよく見かけたので、そこからヒントを得て本書が出来上がったのではないでしょうか。
この本の中でも人生はクソゲーであると何度も書いてあります。

概要

人間をオンラインゲームのプレイヤーとして扱い、そのプレイヤーたちがどうすれば「人生」というゲームを攻略できるのかを解説しています。

説明書篇

第1部では、このオンラインゲームの製作者・管理者の神が、神の視点からゲームの目的やシステムを解説する形で始まります。

本書の冒頭でゲームの目的(つまり「人生」の目的)が語られています。

『人生』の世界へようこそ!ここではあなたは種族「ホモ・サピエンス」の一人としてゲームをプレイします。あなたはおいしい食事をしたり、生殖行為を行ったり、人から讃えられてり、自尊心を満足させることで「幸福点」を入手できます。ゲームオーバーになるまでに他のプレイヤーよりも多くの「幸福点」を稼ぎ、ハイスコアを目指しましょう。

人生の目的は幸福の追求であるというのは私も同意です。

私は学生時代にミクロ経済学を専門に学びましたが、教科書や講義の中で「人間は効用を最大化するように行動する」という記述が出てきます。
効用はまさに幸福のことであり、その追求こそが人間の基本的な行動原理であるとして経済理論が作られています。
反対意見も多くあることは承知ですが、経済学を学んできた私にとっては「幸福点」がゲームのスコアであると言われても違和感を持つことはありませんでした。

攻略本篇

第2部は神の書いた説明書に対し、実際のプレイにあたり注意すべき点や行動を伝える攻略本の形になっています。

私が特に興味を持ったのは、以下の箇所です。

リーダープレイヤーになる自信はないが、せめてフリーランスになることで、使役されるサラリーマンを脱したいと願うプレイヤーは多い。ただし、人が急激に集まる分野はすぐに価格競争の世界へ突入してしまうことになるだろう。
また、国から与えられる資格に安易に乗っかってしまってはいけない。国の政策も、しょせん別のプレイヤーたちが集まり、談合や密談を通して決められた妥協の産物である。

フリーランスになることも模索しているので、この言葉はよく覚えておかなければいけないと感じます。
参入障壁の少ないビジネスというのはあっという間にレッド・オーシャンになることは、頭でわかっていてもつい楽観的に考えてしまい見逃してしまいがちです。
フリーランスになるならば、誰にもまねできない独自の専門分野を持ってビジネスをしていかなければならないと認識させられた一文でした。

早期リタイアについて書かれている箇所には面白い記述があります。

すべての時間を自分の興味のみに投入でき、誰にも「めいれい」されることなく、労働力をお金に変換する必要もなく暮らしていけることは、どれほどの精神的充実に繋がるだろうか。
経済規模を押し上げたい政治・行政プレイヤーと、彼らと結託して利権を確保し続ける必要があるマスメディア所属のプレイヤーたちは「労働こそ美徳」とするキャンペーンを張り続けるであろう。しかし、これも我々の知ったことではない。

私たちが普段、生きている限り仕事をしなければいけないと考えているのはメディアの洗脳であるということです。

昨今「働き方改革」といったスローガンで労働環境の見直しが進み、以前よりは多少マシな環境へと少しずつ変わろうとしてはいますが、いまだ日本人の根底には「働かざる者食うべからず」や「労働こそ美徳」などといった考えが残っています。
しかし、働かなくても生きていけるのであれば、それに越したことはありません。
誰が好き好んで毎日満員電車に乗って、ストレスを受けるために職場へ行くのでしょうか。
「労働こそ美徳」というのは体制側の言葉であり、その裏にある意図をもっと理解した方がよさそうです。

まとめ

その他にも紹介したい箇所はいくつもありますが、キリがないので止めにしておきます。
もちろん説明不足の箇所や当たり前のことをだらだらと書いてある箇所もあったりはします。
個人的には、第1部の神がゲーム制作者の立場でプレイヤーに文句を言いながら説明していくスタイルを第2部でも取って欲しかったです(第1部の神Aのキャラが好きです)。

世の中の賢い大人たちが教える彼らに都合の良い人生の目的や職業観ではなく、少し違った角度からそれらを解説している本書は、大学生あたりが読むとよい刺激になるのではなかと思います。