実務に沿って売掛金の消込処理と売掛金残高管理表の説明をしてみた

今回は、売掛金の消込とは何かについて書いてみたいと思います。経理の基本業務の1つであり、人手のかかる仕事なので携わる人も多いでしょう。簿記の教科書では以下のような実務的な話は出てこないので、経理はこんなことをしているのだと驚く方もいるかもしれません。

売掛金の消込とは

スーパーやコンビニなど商品の引き渡しと同時に現金を受取る商売の場合には、売掛金勘定など使わず売上と現金の仕訳を起こせばそれでおしまいです。ところが世の中の取引のほとんどは、商品の引渡よりも後で現金の移動が起きます。30日後払いや60日後払いなどです。
そのため、どれだけのお金がまだ回収できていないかを現す「売掛金」勘定が必要となります。その場合、以下のような仕訳が起きることになります。

<仕訳>
日付 科目 借方金額 貸方金額 摘要
4/30 売掛金 108,000 C社4月売上
売上高 100,000
仮受消費税 8,000 C社4月売上-消費税

普通の会社であれば取引先は一社ではなく何十社、何百社にもなります。どの会社にどれだけの未回収の売掛金残高があるのかは、常に把握しておかなければなりません。この管理だけでも結構な手間となります。例えば次のような管理表を使って管理することになります。

売掛金残高管理表(5/1時点)
相手先 4月 3月 2月 1月
A社 113,400 54,000 27,000 32,400
B社 5,400 5,400
C社 108,000 108,000
D社 4,320 2,160 2,160
231,120 164,160 34,560 32,400

さて、顧客に請求書を送付し期日通りに入金があったとします。入金があれば送金者の名前と金額を確認して、売掛金の消去(この消去することを消込と呼びます)すればいいのですが、そう簡単には行きません。

例えば、銀行から送られてきた入金出金明細(または預金通帳)が次のようになっていたとしましょう。

入出金明細(預金通帳)
日付 入金 出金 残高 摘要
5/1 800,000
5/10 2,160 802,160 Dシヤ
5/15 4,752 806,912 Bシヤ
5/20 37,152 844,064 Aシヤ
5/20 108,000 952,064 Cシヤ

この場合の消込処理を入金日ごとに順番に見ていきましょう。

5月10日

まず、5月10日のD社からの入金2,160円は管理表から3月の売掛金であることが分かるので、これを消します。

売掛金残高管理表(5/10時点)
相手先 4月 3月 2月 1月
A社 113,400 54,000 27,000 32,400
B社 5,400 5,400
C社 108,000 108,000
D社 2,160 2,160
228,960 164,160 32,400 32,400

仕訳は次の通りです。

<仕訳>
日付 科目 借方金額 貸方金額 摘要
5/10 現預金 2,160 D社3月売上入金
売掛金 2,160

5月15日

次の5月15日のB社からの入金4,752円は管理表と金額が違っています。
送金ミスなのでしょうか?
違います。これは、送金手数料を売手側が負担することになっているため、手数料648円(消費税48円)が引かれて入金されていることにより管理表と金額が違っているのです。手数料の負担者は売手と買手の交渉により決まるため、どの会社からの入金には手数料が引かれて送金されるのかを事前に把握しておく必要があります。

B社からの入金に問題がなかったため管理表を更新しましょう。

売掛金残高管理表(5/15時点)
相手先 4月 3月 2月 1月
A社 113,400 54,000 27,000 32,400
B社
C社 108,000 108,000
D社 2,160 2,160
223,560 164,160 27,000 32,400

仕訳は次の通りです。

<仕訳>
日付 科目 借方金額 貸方金額 摘要
5/15 現預金 4,752 B社3月売上入金
支払手数料 600 銀行手数料
仮払消費税 48
売掛金 5,400 B社3月売上入金

5月20日

5月20日はA社とC社から入金がありました。このように普通は特定の日に入金が集中することになります。A社の入金額37,152円は管理表を見ても同じ金額がありません。
手数料648円が引かれているようですが、それを考慮しても37,800円であり2月の残高と5,400円の差額があります。こうなるとお手上げです。
素直にA社に問い合わせましょう。
・・・
A社に確認すると、3月の売上は21,600円(税込み)と5,400円(税込み)の2つの請求書が届いており、5,400円の請求書が早めに処理されてしまったということが分かりました。これで消込処理ができるようになります。C社の入金と合わせて管理表を更新しましょう。

売掛金残高管理表(5/20時点)
相手先 4月 3月 2月 1月
A社 75,600 54,000 21,600
B社
C社 108,000 108,000
D社 2,160 2,160
185,760 164,160 21,600

仕訳は次の通りです。

<仕訳>
日付 科目 借方金額 貸方金額 摘要
5/20 現預金 37,152 A社2、3月売上入金
支払手数料 600 銀行手数料
仮払消費税 48
売掛金 37,800 A社3月売上入金
現預金 108,000 C社4月売上入金
売掛金 108,000

まとめ

以上が売掛金の消込作業となります。上で紹介した消込処理は説明ために会社数を少なくしていますが、実際にはもっと会社数が多く、複雑な入金が発生します。その場合にはExcelでの管理ではなく専用のシステムで管理し、担当者も何十人という体制で処理することになります。しかし、いくら規模が大きくなってもやることは同じであるため、ここに書いた消込の流れを理解していれば困ることはないでしょう。